下水道のしくみ
下水道は、家庭や団地、商店、工場等から出てくる汚水や雨水を管きょとポンプ場で集め、下水処理場できれいにし、公共用水域に戻すための公共施設です。分流式と合流式があり、家庭から見た場合、汚水を排除し、浸水を防ぎ、衛生的で快適な生活環境をつくるとともに、公共用水域の水質を保全するための施設として都市部を中心に整備が進められてきました。
人間の体にたとえれば、体内の老廃物(汚濁物質)を静脈血管(管きょ)やポンプ場(心臓)を通して、肝臓や腎臓(処理場)で除去し、再び動脈血管(管きょ)を通して体(公共用水域)に戻す働きをします。
一般的な二次処理では、集められた汚水や雨水に含まれるさまざまな汚濁物質を取り除くために、最初に汚水と一緒に流れ出た生ごみや路上にたまった土砂などの固形物が沈殿池で取り除かれます。
次に曝気槽というところで活性汚泥と空気を混入してかき混ぜられ、活性汚泥に含まれる微生物が水中に含まれる有機物等の食べ物を一生懸命取り込み繁殖します。
このあと再び沈殿池に入りますが、ここには微生物が利用できるものがほとんど残っていないため死滅して徐々に沈降して下にたまります。
沈殿物を集めて脱水分離し、下水汚泥として取り除かれます。
きれいになった上澄みは消毒され、病原菌がいない安全な水として公共用水域に戻され、魚等の生物がすめる環境が保たれます。
二次処理では窒素、リンが取り除かれずに公共用水域に放流されるため、これを栄養源とする植物プランクトンが増殖し、内湾やダム貯水池、湖沼などの水の入れ替わりの少ないところでは赤潮等が発生し、水産被害や景観の悪化等が生じます。このため、高度処理も取り入れつつあり、処理された水は、トイレの水洗用水や都市内河川の環境を良くするための環境用水等に利用されています。
また最後に残された汚泥の有効利用や、二酸化炭素の排出、エネルギーの消費が少ない処理技術の開発も進められ、地球温暖化の抑制への貢献が期待されます。
国土交通省下水道部のホームページに下水処理場の仕組みが分かりやすく解説されています。
http://www.mlit.go.jp/crd/sewerage/shikumi/shumatsuhtml.html